薬学生から医学生、その先へ

薬学部から医学部に学士編入した医学生によるブログ。専門はがん幹細胞。難病疾患の研究環境を変えるべく奮闘中。楽しいこと、面白いこと大好き!!!

生体内合成化学治療~体内で薬を合成する!?~

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こんにちは~

 

今日は札幌で行われたマイナビの高校生進学イベントで起業クラブの説明をしてきたこうせいです。

このことも後日記事にしますねー!

主に高校1年生と2年生に説明をしてきたのですが、6,7歳年下だともうまぶしい(笑)

興味を持ってくれた子もたくさんいたのですごく嬉しかったです!

 

さて今日は、昨日ラボにこもって以前紹介したacademist journalを読み漁っていたらめちゃくちゃおもしろい研究を見つけたのでシェアします!

 

www.med-pharm-blog.com

 

 

その研究とはずばり

「生体内合成化学治療」

 

僕は以前、薬学部で有機合成化学をしていたので有機合成化学はそこそこわかります。

でも

「生体内合成化学ってなんだ???」

ってなりました(笑)

 

 

おそらく薬の合成というとこんなイメージを持つかと思います

おおかたこのイメージで合ってます

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しかし、この研究をやっておられる理化学研究所の田中克典先生はこの合成のステップを生体内でやってしまおうという研究をやられています。

 

有機合成というのは2種類以上の分子(試薬)を同じ系に共存させることで反応を進行させます。

この研究は、2つのアプローチをしています

  1. 疾患により体内の特定の部位で特定の分子が過剰に生産されていることを逆手に取り、その過剰分子を試薬として利用することで身体の特定の部位でピンポイントで薬を合成する。
  2. 金属触媒*1反応を利用する方法。がん細胞を認識する糖鎖に結合させた金属触媒を送り込み、がん細胞に選択的に結合させます。そこに無毒な反応試薬を静脈注射し、体内を循環させ、がん細胞表面の金属触媒に出会ったときに化学反応が生じ、がん細胞上で薬を合成する

この研究の何がすごいかというと、

  1. 身体の中の疾患を有している特定の場所で、ピンポイントで薬の合成を行うので、副作用の低下が見込めること。
  2. 身体の中を循環している間に壊れてしまうような不安定な薬剤も、体内のその場で合成できるため体内を循環する必要がなく、薬として利用できる可能性が高まること。

 

この研究により、副作用の低下は言わずもがな、今まで体内で不安定がゆえに注目されていなかった薬剤に再び注目が集まる可能性を秘めています。

ドラックデリバリーシステム*2(DDS)の分野やドラックリポジショニング*3とも親和性がありそうですね!

 

 

薬はフラスコの中で合成するもの。

 

その常識を壊して新たな境地を切り開こうとしている田中先生の今後のご活躍に期待したいです!

academist-cf.com

 

またこの研究の存在を知り、僕も有機合成と分子生物学の2つの目線をもっているからこそ思いつく斬新な発想をしていきたいなと思いました!

こういう異分野を融合した発想を個人でできる素地があるのが編入生の強みかななんて思います。

果たして僕にその強みはあるのでしょうか?(笑)

 

~参考文献~


L. Latypova, R. Sibgatullina, A. Ogura, K. Fujiki, A. Khabibrakhmanova, T. Tahara, S. Nozaki, S. Urano, K, Tsubokura, H. Onoe, Y. Watanabe, A. Kurbangalieva, K. Tanaka: Adv. Sci., 3, 1600394 (2016).
K. Tsubokura, K. K. H. Vong, A. R. Pradipta, A. Ogura, S. Urano, T. Tahara, S. Nozaki, H. Onoe, Y. Nakao, R. Sibgatullina, A. Kurbangalieva, Y. Watanabe, K. Tanaka: Angew. Chem. Int. Ed., 56, DOI: 10.1002/anie.201610273 (2017).
A. Tsutsui, T. Zako, T. Bu, Y. Yamaguchi, M. Maeda, K. Tanaka: Adv. Sci., 3, 1600082 (2016)

 

   

*1:特定の化学反応の反応速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しないものをいう

*2:目標とする部位にのみ選択的に,必要十分な薬物を到達させるように開発された薬物投与システム

*3:長期間にわたって使用され、その安全性が確実な医薬品について未知の薬効を見出し、別の疾患の治療に役立てること